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betcover!! インタビュー
本当にいい音楽を死ぬ気で伝えようと思っています――ヤナセジロウ

1999年生まれのヤナセジロウのバンドbetcover!!。バンド結成は中学時代だが、betcover!!が本格的に始動するのは2017年になってから。現在、固定されたメンバーはおらず、ヤナセジロウのソロバンドとして活動中。ライブをやるときにはドラム、ベース、ギターのサポートメンバーを加え4人編成、もしくはキーボードを加えた5人編成でステージに立つ。昨年12月に『high school !! ep.』を、今年の8月1日には『サンダーボルトチェーンソー』をリリース。楽曲のベースはブラックミュージックだが、それはあくまで骨格の部分。枝葉は90年代の渋谷系からレゲエからジャズからギターロックから前衛的な音楽まで多岐にわたる。1曲のなかで何度も表情を変える楽曲もある。ビートルズがロックンロールをベースに世界中の音楽をミックスしていったように、betcover!!の楽曲も自由だ。多種多様な楽曲たちにひとつの世界観をもたらしているのがヤナセジロウの歌。彼の歌はどの楽曲においても圧倒的な存在感を放っている。しかもそのメロディはポップ。『サンダーボルトチェーンソー』のリリースパーティーの中盤で披露されたアコースティックコーナーではその艶やかなボーカルがオーディエンスを圧倒した。言葉の断片をつなぎ合わせたリリックも面白い。物語の核心をリスナーの想像力に委ねる「詩」へと昇華させている。昨今、ブラックミュージックをベースにしたソフィスティケートされた音楽が隆盛を極めている。betcover!!もその流れで語られることもある。ただbetcover!!の音楽には「洗練」という言葉では括りきれない生々しさや有り余るほどの熱がある。その熱こそbetcover!!の「ロック衝動」であり、betcover!!に無限の可能性をもたらしている。果たしてこの独創的な音楽を操るヤナセジロウとは、betcover!!とは何者なのだろうか。

―― 小さい頃から音楽は聴いてきたんですか?

ヤナセジロウ 親がブラックミュージックを好きなので、車ではマイケル・ジャクソンとかがよくかかっていました。でもその頃は、ただ音楽が流れてるから聴いてたって感じですね。いつもそんな感じだから、子供の歌を聴いているような感じです。

―― 最初に音楽を意識して聴いたのはいつですか?

ヤナセ 最初はたぶん、小学校の高学年の時に聴いた『スパイダーマン2』の劇中歌でB.J.トーマスの「雨にぬれても」ですね。それがすごく好きで。YouTubeかなんかで聴いたのが最初かな、意識して聴いたのは。小学校の5年生か4年生、それぐらいですね。そこからギルバート・オサリバンをちょっと聴いて。「雨にぬれても」を調べていると関連動画が出てくるんですよね。YouTube世代なので、そこで音楽をいろいろ知りました。その後はJ-Fiveを聴いてました。

―― 小学校5年の時にギターを始めたそうですが。

ヤナセ 祖父の家の押し入れにアコースティックギターがあって、ちょっと触ってみたんですね。そこからギターを始めました。叔父がギタリストだったのでギターは知ってたんですけど、最初は興味なくて。そのホコリまみれのギターを見つけた時に興味が出ました。ちょっとやってみようかなという感じで始めて、ずっと独学でやってます。

―― 最初にギターに触れてみて、いかがでしたか?

ヤナセ 「さくらさくら」とかを単弦で弾いてましたね、最初は。半年ぐらいはそれぐらいしかできなかったです。教わるのは嫌なんで、自分でやろうと思って。人に何か言われるのが好きじゃないんで。で、半年ぐらいやってあまり上達しないので……上達はしたのかな……でもちょっと飽きちゃって。中1の時にエレキギターを買ってもらったんですよね。そこからエレキはもう、毎日ずっと弾いていました。

―― エレキに移行した理由は何かありましたか?

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―― バンドに興味があったとかではないんですか?

ヤナセ 覚えてないんですけど、なんだろうな……ギターを始めたからバンドに興味あったのか、バンドに興味あるからギターを始めたのかは思い出せなくて。同時期、バンドにちょっと興味が出てきたのは確かだと思います。エレキを欲しくなるのと同時発生的な感じというか。

―― まわりの友達も楽器やバンドに興味があったりしたんですか?

ヤナセ 吹奏楽部だったんで、音楽というか、吹奏楽の話はしてました。ただバンドの話ができるのはひとりぐらいでした。その友達はbetcover!!のオリジナルのメンバーなんですけど。betcover!!は最初、その2人で始めたんです。betcover!!という名前をつけてくれた奴で、その友達ぐらいですね、バンドの話ができたのは。

―― エレキを持ったら次はバンドに行くわけですね。

ヤナセ 中学生の頃って、音楽が好きな人は一度はバンドをやろうってなるんじゃないかと思うんですけど、普通にそういう感じでバンドをやってみたくなって、中2の時に「やるぞ」って。

―― その頃はどんな音楽を聴いていたんですか?

ヤナセ その頃はジャズとかも好きだったし。けっこう日本のバンドとかも聴いてたかも。東京事変が好きで、その最初のメンバーだった友達も、東京事変と椎名林檎が好きでした。でもバンドでやってた最初の曲とかはポップスじゃなくて、それこそ吹奏楽曲みたいなよくわからない不協和音の曲でした。バンドでは創作音楽みたいなのをやりたかったんですよね。

―― メンバーはすぐに集まったんですか?

ヤナセ 僕の住んでるところはクラシックの街なんですよ。クラシックが栄えてるというか、人気があるんですよ。なので、バンドとかはあまりいいように思われてないところだから、ポップスに興味がある人がまったくいなくて。吹奏楽やクラシックに興味があるって人はいるけど。ライブハウスもジャズ喫茶みたいなのしかないし。だから全然バンドメンバーが集まらず、betcover!!の名前は付けたんですけど、3年間ぐらいは何もしてなかったですね。それこそ去年(2017年)から始めたぐらいの感じです、やっと。

―― 初期のbetcover!!は2人でスタジオに入っていたんですか?

ヤナセ 吹奏楽でパーカッションをやっていた友達とか先輩を呼んでやってました。というか、遊んでいました。バンド活動っていうよりは遊びでしたね。

―― 現時点でbetcover!!はヤナセさんひとりのバンドで、あとはサポートが入っている状態ですが、将来的にはメンバーを集めてバンドにしたいという希望はあるんですか?

ヤナセ 普通にバンドがやりたいです。4人組みたいな。今、メンバーを探してて……ずっと探しているんですけど、自分と合う奴がなかなかいなくて。ま、時代的にちょっと集めにくいっていうのもあるんですけど。なんかクソみたいな奴しかいない……同世代は。本当に……。

―― 今、サポートに入っているニトロデイの岩方ロクロー(dr)と松島早紀(ba)はまさに同世代ですよね。

ヤナセ 本当にいいメンバーが集まったんですけど、あんなのは本当に奇跡的ですから。普通に探しても本当にいないですよ、全然。ああいうのは例外的な感じですね。バンドをやっていれば、たぶんライブハウスでいいメンバーが見つかったのかもしれないけど、ライブハウスにも行ってなかったんで。それに今、いいなと思う人はみんなバンドを組んじゃってるから、なかなかいないですね。同世代で好きな奴もあんまりいないし。いいバンドもいなさすぎちゃって。友達になろうとかも思えない、うん。

―― そういう状況のなか、いろんなオーディションに応募して、幕張のCOUNTDOWN JAPANにも出演しているんですよね。

ヤナセ あの頃はいろいろ応募してみたのかな。周りと合わなくて高校を途中で辞めたんですけど、その時に、先生に、とりあえずオーディションを受けてやる気を見せろって言われて。オーディションを受けることを夏休みの課題かなんかで出されたんです。それでいろいろオーディションを受けてみたという。だから応募したいと思って応募したわけでもないんです。

―― 学校を辞めるためのオーディションだったわけですね。

ヤナセ 学校では周りから相当浮いてたし。八王子のヤンキー校みたいなところだったから、周りが本当に馬鹿過ぎて、すごい嫌だった。あと、なんか眠くて、朝、学校に行けなくて……それが一番でかいかもしれない。お腹も弱くて。学校にたどり着くのに毎回遅刻してるし。学校に行くのなんか嫌だなぁ、どうせ大学生になっても周りは馬鹿なんだろうな、と思ったら、別にいいやと思って。4月に入学して9月に辞めたんですけど、実際に学校に行ってた日数は1ヵ月か2ヵ月ぐらいかもしれない。ほとんど遅刻するか、学校の近くの田んぼで音楽を聴いてました。家は一応出るけど、八王子のどこかの駅で降りて暇をつぶしたり。山とか川がすごく好きなんで、音楽を聴きながら、山とか川でひとりで遊んでいました。

―― 学校を辞める時、反対はされなかったんですか?

ヤナセ 幼稚園の頃から幼稚園には行きたくないって言ってたし、小学校の頃も小学校には行きたくないって言ってたし。高校の時は大反対はされましたけど……もう、しょうがないっていうか、もう無理だろうなっていう。けっこう、家にいるのが好きなんで、今でも家からは出たくない。

―― 高校を辞める時は音楽の道を進もうという気持ちはあったんですか。

ヤナセ 元々は映画監督をやりたかった。なんか小っちゃい頃からなんとなくそういうことをやるんだろうな、とは思ってて。だからこそ高校を辞められたんですけど。謎の自信があったんですよね。なんか大丈夫だろうって。で、辞めるちょっと前に音楽をちゃんとやろうと思って。「音楽、できんじゃね?」と。曲を作って、こういうことをやってますって、先生に渡したんですね。今、聴いたら、ちょっと酷い曲だなっていう感じなんですけど。

―― オーディションに応募する時点では、betcover!!のスタイルがとりあえずは完成したといった手応えはあったんですか?

内祝い 内祝 お返し 送料無料 今治タオル シングル ギフト 東京西川 西川 今治 タオルケット 2枚セット グレー RR89510554 (10) ないんじゃないですかね。未だにあんまりないし。けっこう飽き性っていうか、適当なんで。オーディションにはこれでいいかっていう感じでバンバン送ってました。別に何回でも送れるし、作ったら送ろう、みたいな。けっこう変な曲を作ってて、リバーブをかければいいやみたいに思ってた(笑)。リバーブをマックスにかけとけば、いい感じに聴こえるしなぁって。それぐらいの感じだったんですよね。

―― だけど、高校を辞めてから『high school !! ep.』を出すまで、そんなに長い期間があるわけではないですよね。

ヤナセ 長い気がしたんですけどね。意外と長くない。

―― 高校を辞めたことで、音楽に向かう姿勢が変わったというのはありますか?

ヤナセ 何をやってもいいやっていう。だから恐れずやって行こうという気にはなりましたね。恐れるものがないので、もう、僕は。それに音楽以外でできることはあんまりないんで。美術系は得意なんですけど。絵を描いたり、写真を撮ったり、映像を撮ったりとか。他のことは勉強も運動もできないし普通の仕事もできない。やる気とかのレベルじゃなくて、そういうところが弱いらしくて。だから音楽とかで頑張らないとなっていう気持ちはありますね。メンバーを早く見つけて、ガンガン活動して行きたいっていうの、ありますね。

―― 例えば『high school !! ep.』を作るにあたって、音楽の才能が開花したみたいな手応えはあったんですか?

ヤナセ それは今ですね。今、すごく絶好調です。やっぱり作品を出してからじゃないと、たぶんギアが入らないんだと思います。『high school !! ep.』を出した直後にモードが切り替わって、『サンダーボルトチェーンソー』のイメージができてるんですよ。次にやりたいことがわかるというか。

―― 『high school !! ep.』のレコーディングはどういう気持ちで向かったんですか?

ヤナセ もう本当に退学した気持ちのまま作ったんで。だから『high school !! ep.』って言うんですよ。でも『high school !! ep.』の曲ができあがるまでは、ワケがわからない曲を作っていました。そこから半年ぐらいしか経ってないはずなんですけど、なんで『high school !! ep.』に入っている曲ができたんだろうな。本当、ワケがわからない曲しかなかったのに……あ、そうだ、友達のお父さんにMTRをもらったんだ。それまでは録音機で録音したやつをスピーカーで流して、また録音してたから、最終的にノイズミュージックみたいになっちゃってたんです。例えばドラムはYouTubeで音源を流して重ねたり、ダンボールを叩いて録音してたから。いつの時代だって感じですけど。MTRにはドラムマシンも付いていますからね。そこからですね、『high school !! ep.』の曲ができていくのは。実は今もそのMTRで作ってるんですけど。だからたぶん日本でMTRを一番使うミュージシャンなんじゃないかな、と思うんですよ。完璧に熟知してる。

―― それも独学なんですか?

ヤナセ 独学で。だってもう2年ぐらい毎日のように触ってるから。一番MTRを使うのが上手いと思う。音源としての完成度より、MTRで曲を作るのが大好きで。それでたぶん『high school !! ep.』の曲がうわっとできたんだと思います。でもさすがに限界を感じ始めていて。50曲ぐらいしか録音できないんですよね。だからすぐに容量が埋まっちゃって。ちょっと好きな曲があっても全部消して、みたいなことをやっています。ただ、全部消すと新しい曲ができるんですよ。「平和の大使」とかも、MTRに入っていた曲を全部消去したらできたんです。だから本当に『high school !! ep.』をリリースした後に、もう次の日ぐらいから、なんかできるなって思ってしまうんです。やっぱり吐き出さないと次に行けない人間なんだなって。

―― 『サンダーボルトチェーンソー』も独創性溢れる楽曲が収録されているんですが、楽曲はどうやって作るんですか?

ヤナセ だいたいドラムとベースから作ります。一番最後にコードを当てはめる感じですね。あまり音楽理論がわからなくて、ギターのコードとかで作っちゃうと上手く行かないんで、パズルみたいな感じで作っていきます。自分で考えながら曲を作ると、頭が固定されちゃうから、何も考えずにギターを弾いて、いい感じのメロディがあったら取り上げて、それを歌にするのか、リードギターにするのか、ベースにするのかわかんないですけど、そこから広げて行くっていう、ちょっと変な作り方をしてます。

―― 例えば『サンダーボルトチェーンソー』の1曲目の「新しい家」は冒頭に違うリズムが入って、途中から本編へなだれ込むわけですが、ああいう突拍子もない展開は思いつきなのか、最初からそれを計算してやっているのか、どちらなんですか?

staub/ストウブ 〔ホーロー鍋〕 RST4827 ピコ・ココット オーバル(11cm)/グレー 基本、思いつきです。感覚で。たぶん最初のどんちゃんどんちゃんというリズムは、斉藤和義の「歩いて帰ろう」のまんまパロディなんですけど。そこから「うっふー」かな、みたいな。本当に何も考えてないんで、自分がこう来たらいいなっていう感覚に任せてる感じですね。

―― ユニークな展開の曲を作ってるという自覚はあるんですか?

ヤナセ ないんですけど、みんなに言われます。よく転調をするとか言われるんですけど、音楽理論が本当にわからないので、転調してるつもりもないんですよね。「これ、転調なんだ?」とか。今回もすごい転調してるって言われてるんですけど、どこがしてるのかわからない。

―― 無意識でああいう曲の展開が生まれてるんですね。

ヤナセ そうですね。

―― 本来ならこういう曲調の音楽は心地よく聴けて、BGMになり得たりするんですけど、『サンダーボルトチェーンソー』は聴き始めると、ずぶずぶはまって、聴き流せないんですよね。

ヤナセ それはそうしたいんですよね。聴き流されてしまう音楽は嫌だから。それがでも転調やら構成でそうなってんなら、もうちょっとやりたいなって思います。

―― それだけじゃないと思いますけどね。

ヤナセ でも、たぶん、そういうのが影響してると思う。

―― 例えば、歌詞には「退屈」や「憂鬱」というキーワードも出てきますが、歌詞にぶつける思いが自分の中で生まれてきたというのはありますか?

ヤナセ 「退屈」っていう言葉は使おうかどうしようか、迷ったんですよね。実際、退屈な感じはするけど、あまり使いたくはなかったんですよね。

―― それはどうしてなんですか?

ヤナセ 退屈とか窮屈とか、すごく言われるから。なんかちょっと嫌だなと思って。なんか、同等に見られてない感じがして。例えばニトロデイのインタビューの見出しになることが多いんですけど、「退屈がなんたら」とか、10代の「退屈」とか「渇き」とか。そうやって括られるのが嫌なんです。別に若いから退屈してるんじゃないよ、と思って。ちょっと離れて見られてる感じがして、言葉自体が嫌なわけじゃないんですけど、好きな使われ方をしていないから。

―― 音楽を伝えるメディアとの温度差を感じてしまうんですね?

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―― 音楽の熱量に若いも年寄りもないだろう、と。

エビ ゼットフラッシャー 355mm FX355A 『サンダーボルトチェーンソー』はだから聴き流して欲しくないんですよね。ちゃんと対等に音楽を聴いて欲しいというか。まだやっぱり「聴いてやる」っていうノリが強いんじゃないかな。別に悪気がないのはわかるんですけど、もっとなんか音楽に対して熱を持って欲しいですね。音楽だけではなく、社会に対する窮屈さに対してもそうだけど。今、僕らが社会に対して何かを言ったとしても、「若い熱」とかそういうので片付けられてしまう空気感が本当に問題だと思うんで。そういう物差しで見て欲しくないっていうのはありますね。

―― そういうジレンマがあるんですね。

ヤナセ 「俺らも何かしよう!」みたいに大人がなってくれたら嬉しいですよね。10代が何か言ってるんだから、私たちも音楽を変えなければ、みたいになってくれたらいいんですけど。とにかく熱量を持った時代にしたいと思っていて。

―― 音楽に対する熱量が足りないと感じているわけですね。

ヤナセ 僕が生まれたのは平成11年で、何もかもがある程度収まってる時代なんですよね。バブルが終わって、みんなちょっと暗い時代ですよね。不景気に生まれているので。元々生まれた頃からその熱量がないんですけど、そのくせ、大人は「ゆとり」だの「さとり」だの何だのと言ってるわけですよ。「こういう社会を作ったのはおめーらだろ?」と思って。音楽業界も同じだと思うんです。なめたことをやって来たから音楽シーンが廃れて行くんだよって。もうちょっと頑張ろうよって。だから、他人事として見てもらいたくなくて。みんなでやって行こうって僕は思ってるので。

―― 例えば「退屈」という言葉を大人もちゃんと共有して、そこに太刀打ちできるものを作っていかないと始まらない、ということですよね。

ヤナセ 僕らが何かを言ったとしても、やっぱり大人が何かやってくれないと、もうどうしようもないんで。だから「いい曲だね」とか、「すごく熱いものを持ってるね」って言うのと同時に、やっぱり自分も何かを持とうというふうになっていただきたいという思いがありますね。周りの熱量が上がれば、若い人は乗っかれると思うんですけど、その空気感がないとどうしようもないんで。

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ヤナセ あと、アーティストもちょっとびびりすぎですね。YouTuberの方がまだ何かを発言している。アーティストは表現者なのに、自分を守ることしかしてないように思います。これは歌っちゃいけないとかインタビューでは言っちゃいけないとか。自分がネットでディスられるのが嫌だとか。アーティストを辞めちゃえばいいのに、と思うんです。アーティストっていう呼ばれ方をしない方がいい。もっと大人のアーティストが熱くなって欲しいですね。「何をびびってんだ?」と思いますけどね。僕はびびらずにやって行こうと思うので、そこら辺をみんなで頑張りましょうということです。本当に未来に向けて今頑張る時だと思うんで。ま、年号も変わりますし、何かを起こすなら、やるなら今じゃないかと思うんですよね。

―― この10年くらい停滞していた感じはありますね。

ヤナセ やっぱり何もない時代がちょっと長かったんで。本当に長すぎたんで、そろそろみんなでやろうっていう気になる年なのかな。サブカルが出始めた頃から、サブカルがサブカルではなくなったっていうか。10年間で進化がない音楽を作り上げて、セールスはちゃんと固定できるっていうのは逆にすごいなと思ってはいるんですが、だけど、これからは音楽が好きな「いい大人」がちゃんと戦わないといけない。悪い大人、やっぱいますからね、音楽業界。そういう人たちに「いい軍団」で戦争を起こしたい。音楽が好きな人が音楽をやらないといけないので、そこは本当、みんなで頑張りましょう。音楽業界で世代に関係なく動くと、本当に変わりますからね。

―― betcover!!の登場もそうだけど、徐々に変わってきているような気もします。

ヤナセ あとリスナーもけっこう耳がよくなってきてますよね。だからこそSuchmosとかも出てきて、ブラックミュージックを聴くきっかけになったりもしているので、あの辺りから若干よくなってきてるんじゃないかと感じますね。ただ、そうなると、問題はやっぱり若者で。この年代でいいアーティストってそんなにいないんですよ。

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ヤナセ そうですね。引っ張って行きたい。

―― 象徴がひとつでもあれば変わりますからね。RCサクセションが出てきた時もそうだし、ブルーハーツが出てきた時もそう。ひとつでも象徴が出てくると、音楽を取り巻く風景ってがらっと変わる。その役割をbetcover!!がやればいいと思いますね。

ヤナセ 頑張ります。音楽活動を楽しくやりたくないんですよね、僕は。仲良しこよしでやるわけじゃなく、本当にいい音楽を死ぬ気で伝えようというね。今、「楽しくやろう」っていうムーブメントが起きていますけど、そういうのは僕はあまり好きではなくて。横の繋がりではなく、もう「おまえ、殺すぞ!」ぐらいの勢いが欲しい。みんなが一緒になって同じことをしてちゃダメだと思うんです。ひとりひとりが頑張る。最終的にそれが力になるっていうのが理想なんですよ。各自バラバラでも向かう方向はひとつになってると思うんですよ。いい音楽を作るということにすごいパワーを持っていれば、熱量を持っていれば、到達点は同じですからね。

―― 「いい音楽」を個人的にはどういうふうに定義づけていますか?

ヤナセ 「考える」ということが、今、すごく大事だと思います。「これってどういう意味があるのかな?」って、ちょっと不思議なワードを入れたりして、「自分で考える」っていうことをキーワードにしてるんですけど。だから歌詞について自分では説明はしない……ちゃんと言いたいことがあって、歌詞はしっかりと考えてるんですけど、それが何かを自分で考えて欲しい。それって別に面倒臭いことじゃなくて、すごく楽しいことだと思うんです。ただ、今のリスナーは曲について考えるということをしないですよね。

―― betcover!!が投げた言葉を考えることで、どう想像の翼を広げるかっていうところがロックの面白さのひとつでもありますからね。

ヤナセ そうです。いくらでも広げられるし、いくらでも深読みできるし。それ、本当の音楽っていうか、それが歌詞の面白いところだから。

―― 現代のような0か1か、損か得かの答えしか求めないような時代だと、そこの曖昧模糊とした想像力の部分っていうのは否定されがちなんですよね。本当は0でも1でもないところが音楽の面白さなんですけど。

ヤナセ そうなんですよ。それを僕は伝えて行きたいっていうか。音楽について考えれば、他のことについても考えますからね。『サンダーボルトチェーンソー』はそういうつもりで作りました。まず考えてもらうっていう、まずそこですね。


(インタビュー・秋元美乃/森内淳)
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<STAFF> WEB DONUT VOL.2 2018年9月号/発行/発行・編集・WEB制作=DONUT(秋元美乃/森内淳)/カバーデザイン=山﨑将弘/タイトル=三浦巌/編集協力=芳山香

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betcover!!『サンダーボルトチェーンソー』
(水)Release
SPFC-0014 ¥1,620(Tax in)
収録曲:M1 新しい家 M2 キャンプファイヤー M3 平和の大使 M4 小さな国境を越えて M5 セブンティーン

ライブ情報
■9月8日(土)下北沢MOSAiC
w / The Songbards / aint / 鳴ル銅鑼 / ニトロデイ / NIM2
■9月17日(月・祝)群馬県小平の里キャンプ場
MACHIFES. 2018
■9月20日(木)新宿MARZ
w / The ManRay / e.r.a. / GeGeGe / chadai
■10月27日 (土) 新宿レッドクロス
w / 山﨑彩音

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